Alexaのスペイン語(アメリカ)対応から多言語対応について考える

2019年の4月末、Alexaでアメリカ向けのスペイン語が利用できるようになりました。

We’re excited to announce that now developers can start building skills for Spanish-speaking customers in the US using the Alexa Skills Kit (ASK) with the new Spanish for US voice model. 

https://developer.amazon.com/ja/blogs/alexa/post/3c0adda8-3733-4083-9378-e63903f3e993/alexa-skills-kit-expands-to-include-spanish-in-the-us

これでアメリカに住んでいるスペイン語話者が、Alexaを使うことが可能となります。

スペイン語はすでに対応していたんじゃないの?

このニュースでポイントとなるのは「アメリカでの」という前置きがつくことでしょう。というのも、スペイン語自体の対応はすでに実装されており、メキシコやスペインでは利用することができたからです。

Alexaでは、今回のような「アメリカでの○○語」や「メキシコでの○○語」という表現がよく出てきます。これは「ただその言語で利用できるようにする」だけではなく、「その国で利用できるようにする」という意図があると思われます。いわゆるローカライズ(L10N)ですね。

どこでローカライズしているの?

具体的な例を見るために、Alexaがユーザーの発話を受け取る際の処理部分について覗いてみましょう。

まずはスペインのスペイン語で、都市について言及した場合を見ます。

AMAZON.City
スペインでスペイン語を話すユーザーが一般的に使用する現地や世界各地の都市の名前を認識します。このスロットタイプは都市名の一般的なバリエーションを認識します。サービスに送信される都市名は、ユーザーが話した値と一致します。つまり、Alexaサービスは、都市名のバリエーションを正式な都市名に変換しません。

例:
Madrid
Barcelona
Valencia
Sevilla
Palma
Las Palmas de Gran Canaria
Valladolid
Alicante

https://developer.amazon.com/ja/docs/custom-skills/slot-type-reference.html#list-slot-types

例として上がっている地域は「マドリード」「バルセロナ」と、スペインの都市が軸となっています。このため、スペインのスペイン語でスキルを開発することで、現地でよく用いられる用語・表現などを正しく認識しやすくできます。

続いてメキシコでのスペイン語について見てみましょう。

AMAZON.City
メキシコでスペイン語を話すユーザーが一般的に使用する現地や世界各地の都市の名前を認識します。このスロットタイプは都市名の一般的なバリエーションを認識します。サービスに送信される都市名は、ユーザーが話した値と一致します。つまり、Alexaサービスは、都市名のバリエーションを正式な都市名に変換しません。

例:
Mexico City
Ecatepec
Guadalajara
Puebla
New York City
Ciudad Juárez
León
Monterrey

https://developer.amazon.com/ja/docs/custom-skills/slot-type-reference.html#list-slot-types

こちらはメキシコシティやニューヨークと、北米の都市が軸になっています。

この他にもアーティストや会社名など、リストスロットタイプとよばれる部分を見ることで、各言語・地域への対応状況の一部を覗き見ることができます。

スキルの多言語化を考える2019年版

現在のAlexaのローカライズ状況を見る限り、1デバイスにつき1言語という状況はしばらく続くと思われます。そのため、Google Homeなどのように、話しかけた言語を識別して処理を変えるようなデバイスについては、サードパーティが開発する可能性に期待する以外はもうしばらく待つ必要がありそうです。

ただし、セットアップした言語・地域によってスキルを出し分けることは可能ですし、上記の例のように「言語」だけでなく「地域」によってスキルの実装を変えることは可能です。実際英語については、アメリカ・イギリス・インドなど、かなりの地域が対応されています。

また、仮に1デバイスで多言語に対応できるようになった場合についても、おそらく言語・地域別に作成・公開されているスキルがそれぞれ呼び出されるような形になるのではないかと思われます。

そのため、スキル開発の際は、「レスポンスを多言語化できる実装にすること」と「地域・言語によって対応していないスロットタイプがあり、そのフォールバック実装が必要になること」の2点を意識しておけば、将来来るであろう「日本での英語」や「アメリカでの日本語」のような私たちが必要としているローカライズがサポートされたときにもスムーズに追従できるのではないかと考えています。

個人的には、東京オリンピックやインバウンド需要を目指す方針を見据えて早い目に「日本での英語」「日本でのスペイン語」あたりは来てほしいなと思う次第。

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